真庭市での酪農のあり方について
年々「酪農の担い手」が減っている
現在、牛や豚などを育てている酪農家が、日本全国で減少しつづけていることをご存じですか?酪農家が減少している理由は、ずばり担い手が不足しているためです。
酪農には重労働・休みがないといったイメージが根強くあるため、酪農家の子どもが後を継がないケースも増え、外部からの後継者を探すのもむずかしい状況がつづいています。
乳用牛・肉用牛ともに飼養戸数が減少
令和に入り、前年度と比較して乳用牛を飼養する戸数は700戸も減少しています。乳用牛を育てている酪農家の約4,5%もが、廃業などによりたった1年でなくなってしまっているのです。
飼養戸数は1963年から右肩下がりで減少しつづけており、このまま減少が続くと耕作放棄地が増え続けます。放棄された土地は再利用もされず、荒れ果てた土地のまま放置され景観が悪化したり、周辺農地へ悪影響を及ぼすことも。
また、管理が行き届かない耕作放棄地には多くの廃棄物が不法投棄される可能性も高まり、環境破壊にもつながりかねません。
畜産品の減少は大丈夫?
飼育戸数が減っているからといって、畜産品自体も減少しているわけではありません。近年では1戸あたりの飼育頭数が増加しており、酪農家自体が減少しても、飼育されている牛の数は一定数を保っています。
いわゆる「メガファーム」とよばれる、単独で多くの畜産品を産出できる大規模な農場が増えているというわけですね。とくに土地が広い北海道が全国の飼養頭数の6割を占めており、私たちが普段口にする肉や牛乳、バターやヨーグルトといった加工品の減少の心配は今のところはありません。
畜産の知識を未来につなぐために
このまま日本で効率のいいメガファーム化が進み、小規模の酪農家が廃業していく現状が継続したらどうなるでしょうか。代々受け継がれてきた大切な畜産の情報や知識が失われてしまうかもしれません。
物事の効率化をはかり、利益率を高めることは経営の中で大切なことです。しかしながらこのまま酪農家の数が減少すると、畜産の多様性が失われ、乳や肉の質の均一化が進んでいってしまうかもしれません。
酪農家の未来を支える真庭市
岡山県真庭市では、「持続可能な酪農」をテーマに、肉用牛近代化計画を策定しています。家畜を改良し、畜産の新技術を市全体で普及することにより生産性の向上を目指す、飼育数に頼り過ぎないジャージー牛のブランド化を推進するなど、今後の日本での酪農の軸となりえる近代化計画を打ち出しているのです。
畜産業界の形態が大きな変化を迎えようとしている今、酪農家だけの努力では経営の継続がむずかしい時代は今後も続いていくと思います。市や県が酪農の今後をしっかりと考え、貴重な酪農戸数を減らさないために手を入れていかなければいけないのではないかと考えます。
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